腫瘍科

腫瘍科のご案内

当院の腫瘍科では、早期発見・早期診断を目指し、主に外科治療・抗がん剤治療・支持療法を行なっております。放射線治療が必要な子では二次診療施設をご提案し、当院ではその後の治療のサポートを致します。
また、24時間体制で入院看護、緊急対応しております。
その子にとって一番の治療をご提案し、ご家族に寄り添った治療を目指しております。

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診療の流れ

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腫瘍科でよく見る疾患・治療例

外科療法

手術でがんを切除します。がんの性格によっては周辺の組織や近くのリンパ節も切除します。体のがんを一気に切除できるため、根治につながることも多い治療法です。その一方で、全身麻酔が必要になり、また体にメスを入れるため負担が大きくなりやすいため術後の完治もとても大切になってきます。

皮膚腫瘍

皮膚のしこりとして触れるようになり、皮膚腫瘍は体全身様々な場所で発生します。皮膚にできる腫瘍は脂肪腫やアポクリン腺腫など良性のものから肥満細胞腫、軟部組織肉腫など悪性度の高いものまで種類が多くあります。

<皮膚肥満細胞腫>

犬では最も多い皮膚腫瘍。

治療例 13歳 柴犬 未避妊雌  肥満細胞腫(高分化型)
数日前にご家族がブラッシング中に左後肢のしこりに気づき受診、細胞診にて肥満細胞腫と診断され外科的に切除。手術から4年たっているが再発なく元気に過ごしてます。

<アポクリン腺腫>

悪性に転化することもあるので外科的な切除適応。

治療例 12歳 雑種猫 去勢雄
数日前にしっぽを気にして舐めているのをご家族が見つけ来院。細胞診からアポクリン腺腫疑い、外科的に切除しました。断尾が必要かとも思われましたがPRP(皮膚再生療法)にて腫瘍のみ切除し、術後10日で皮膚形成され術後良好です。

消化器腫瘍

口⇒胃・腸⇒肛門までの経路を消化器と言います。消化器はご飯を消化し吸収する重要な組織です。消化器のガンには口腔内腫瘍(扁平上皮癌、メラノーマ、線維肉腫など)、胃癌、小腸癌、大腸癌、胃や腸のリンパ腫や肥満細胞腫、肛門周囲腫瘍(肛門周囲腺腫・腺癌、肛門嚢癌)が発生します。

<口腔内腫瘍>

口腔内の悪性の腫瘍の場合は周囲の組織や顎の骨にがん細胞が広がってしまっていることが多いため周囲の組織と顎骨を含めた切除を行うこともあります。腫瘍の部位や広がり具合によって切除する範囲が異なります。

治療例 10歳 ミニチュア・ダックスフンド 去勢雄 扁平上皮癌
よだれがみられ口の中のしこりご家族が発見し来院。細胞診から扁平上皮癌が疑われCT検査から顎骨への浸潤が認められたため左下顎骨切除術を実施しました。 術後ごはんの形状を工夫して顎骨切除後も口から食事できました。

<消化管腫瘍>

腫瘍のできる場所によって症状として吐き、下痢、食欲不振を示し腫瘍の腫瘍の種類によっては外科的な切除が第一選択になってきます。放っておくとごはんが腫瘍によって腸が閉塞・裂開しごはんが食べられず吐き気が続くこともあります。術後、化学療法を加える子もいます。

<肝臓腫瘍>

肝臓は食べたものの栄養素を作って蓄える重要な臓器です。腫瘍の症状が出にくい臓器です。肝臓には肝細胞癌、胆管癌、血管肉腫やリンパ腫などの病変が発生します。

治療例 14歳 雑種猫  肝細胞癌
食欲不振を主訴に来院しました。超音波検査にて肝臓腫瘍を認め外科的に左肝区域切除実施しました。完全切除できており、術後再発なく過ごせました。

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脾臓腫瘍

脾臓は免疫機能や造血機能を果たしている臓器です。症状を出しずらいことが多く、かなり大きくなり腹腔内で出血し見つかることが多い腫瘍です。脾臓には血管肉腫、結節性過形成、リンパ腫、肥満細胞腫などの病変が発生します。

治療例 11歳 フラット・コーテッドレトリーバー 未去勢雄  血管肉腫
ふらつきがみられ来院しました。超音波検査にて腹腔内の出血が認められ緊急開腹手術を実施しました。術中、腹腔内の血液を血管内に投与する自己輸血を実施しました。術後5日で無事退院できました。病理結果を受け術後抗がん剤の内服し、術後3か月おうちでご家族と過ごしました。

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呼吸器腫瘍

鼻⇒喉頭・気管⇒肺に至る空気の通り道を呼吸器といいます。

<肺腫瘍>

肺がんや扁平上皮癌、組織急性肉腫などの病変が発生します。咳や呼吸の変化などの見た目でわかりやすい症状が出ることもありますが初期の場合は症状が出ないこともあります。早期発見とても大切です。

治療例 11歳 パグ 避妊雌 肺腺癌
咳を主訴に来院しました。レントゲン検査にて右肺に腫瘍形成が認められ、CT検査を実施し右肺中葉切除術実施しました。手術にて完全切除でき、術後再発なく良好です。

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骨格系腫瘍

骨や筋肉には骨肉腫、軟骨肉腫、軟部組織肉腫、組織球肉腫などが発生します。

治療例 14歳 雑種猫 去勢雄  骨肉腫
検診時に歩様異常を認めレントゲン検査を行ったところ骨腫瘍疑われたためCT検査、生検検査実施しました。生検では骨腫疑いでしたが進行スピードが早く悪性腫瘍を疑い断脚術実施しました。

生殖器腫瘍

生殖器の腫瘍は犬猫ともによく発生し、特に乳癌や卵巣・精巣腫瘍がよく認められます。若齢時の去勢・避妊手術が発生予防に非常に効果的です。初めての発情出血が見られる前の避妊手術をおすすめします。

<膣腫瘍>

治療例 11歳 ゴールデンレトリーバー 未避妊雌  線維肉腫
陰部からの出血が主訴に来院しました。また細胞診から悪性腫瘍が疑われたため会陰切開を加え腫瘍を摘出しました。同時に避妊手術も実施しました。術後排尿異常なども見られず1週間で退院でき、腫瘍は完全に切除されており術後経過良好です。

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<卵巣腫瘍>

治療例 7歳 柴犬 未避妊雌  顆粒腺細胞腫
多飲多尿を主訴に来院しました。超音波検査にて左側卵巣腫瘍を認め開腹にて卵巣周囲との癒着を剥離し、卵巣子宮摘出術実施しました。完全切除されており、術後多飲多尿もおさまり良好です。

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<乳腺腫瘍>

治療例 10歳 ゴールデンレトリーバー 未避妊雌 乳腺癌
下腹部のお腹の膨らみにご家族が気づき来院しました。第4-5乳腺の液体貯留がみられ、液体抜去と細胞診を実施したところ乳腺腫瘍が疑われたため第3-5乳腺摘出術と、鼠経リンパ節も同時に摘出しました。完全切除されており、リンパ節転移認められませんでした。術後3年経ったいまも少なくても半年に1度検診実施しています。

治療例 11歳 雑種猫  未避妊雌  乳腺癌
抱っこしているときに胸のあたりのしこりにご家族が気づき来院しました。第4,5乳腺に触知できる腫瘍があり、細胞診を実施したところ乳腺癌疑い、右側片側乳腺摘出術実施しました。辺縁に腫瘍細胞はみられませんでしたが、鼠経リンパ節への転移が認められ術後6か月間自宅で問題なく過ごせたが、その後胸腔内転移を認めました。

化学療法

抗がん剤での治療です。方法は点滴、注射、内服薬と様々です。がん細胞を殺し、これ以上増えるのを抑えます。抗がん剤は種類が多くあり、がんの種類や悪さ、その子の体調によってどのお薬を使うか判断していきます。全身に対しての治療になるため転移してしまったがんにも効果がある唯一の治療法になります。ただし全身に届くからこその副作用もあります。下痢・嘔吐などの消化器症状、発熱などの副作用が起こることがあります副作用が起きた場合はその症状に対しての治療を加え、そのあとの抗がん剤の投与を再検討します。

造血器腫瘍
<リンパ腫>

犬と猫の血液のがんとしてリンパ腫や白血病があります。リンパ腫は非常に症例数が多く、発生する場所によってタイプが分かれます。多中心型(リンパ節)、消化器型(胃・腸)、縦隔型(胸腔内)、皮膚型(皮膚・粘膜)、節外型(頭蓋内や腎臓などその他の臓器)

治療例 
導入期は数か月週1~2週に1回のペースで抗がん剤の行い、腫瘍が縮んできたら維持期に入ります。抗がん剤の頻度や種類はその腫瘍の種類・進行スピード・その子の状態、副作用など状況によってその子にあった治療方法を選択していきます。リンパ腫は抗がん剤の治療反応は良く、長期的にコントロールができる事が多い一方で、早期に進行し悪化するものも存在します。

支持療法

腫瘍によって体におこる様々な症状を改善し生活の質の維持を目指します。がんを抱えた子たちのサポートです。

栄養療法

がんがあるときにみられる食欲不振・吐き気・下痢に対してお薬を使い、体の足りない水分に対して点滴治療をします。その子が食べやすいものを一緒に考え、お口から食べにくい場合はチューブなどを用いた給餌などを行います。またごはんを食べてもがんに栄養が取られてしまう場合は抗酸化作用のある食材など腫瘍に対してのメニューをいっしょに考えていきましょう。ご家族のサポートもとても大切です。

疼痛管理

悪性の腫瘍があるときに痛みを伴うことがあります。人が普段服用する痛み止めから麻薬の強い痛み止めまで様々な痛み止めがあります。その子の痛みや全身状態にあったお薬を使用します。おうちでご家族と過ごす上ですこしでも苦しみがないように痛みの治療を行っていきましょう。

わたしたちが獣医師としてできるかぎり多くの治療の選択肢を。
そして動物とご家族がすこしでも苦痛なくいっしょにおうちで過ごせる時間を。

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