「なんだか犬のお腹が膨れてきたな」と感じた時、太っただけかなと思って様子を見がちですがそこにすぐに適切な処置が必要な緊急疾患が隠れている場合があります!
肥満ももちろん病気ですが緊急疾患の場合は一刻を争います。
ここでは、急に犬のお腹が膨れた時に考えられる緊急疾患をいくつかご紹介します。
腹水とは犬のお腹に溜まる水を言います。
本来、ほとんどお腹の中に水はありませんが色々な疾患が理由で腹水が溜まってしまいます。
・循環器の疾患
犬の心臓に寄生するフィラリア症(犬糸状虫症)や心臓病により、うまく血液が流れずに滞り、腹水が溜まってしまいます。
心臓病は犬の死因の第二位と多い疾患なので早期発見してお薬でうまくコントロールしてあげたいですね。
・消化器の疾患
何らかの原因によって消化管から多量の蛋白が漏れ出てしまい、血液中のたんぱく質が少なくなる蛋白漏出性腸症という疾患があります。これにより血液中に水分が保持できずに腹水が溜まってしまいます。
胃内のガスの急速な蓄積によって起こる深刻な急性の疾患です。明らかな原因は分かってないですが、食餌や水を一気に摂取したあとにすぐ運動することにより起こることが多いと言われています。
好発犬種として胸の深い、ゴールデン・シェパード・コリー・ボルゾイなどが挙げられます。何度も吐こうとしてるのに吐けない、涎を垂らす、呼吸が苦しそうになるなどの症状が出たら要注意です。この疾患は一刻も早く病院に行って処置が必要となり、場合により緊急手術を行います。
犬の子宮内に膿が溜まる疾患です。元気食欲の低下の他、陰部から膿のようなものが出たり、たくさん水を飲んでたくさん排尿するという症状が出ます。発見が遅れると命に関わる大変な病気です。避妊手術をしていない中高齢犬の発情後、1~2か月後にこの疾患になるリスクがあがるので特に注意が必要です。
犬のお腹の中には様々な臓器があり、どの臓器にも腫瘍が出来る可能性があります。ただ体の表面にある腫瘍は触って気づけますがお腹の中の腫瘍は目に見えず、触りにくいので、進行してから気づくケースもあります。
最悪の場合、腫瘍が破裂して血液がお腹の中に溜まってしまう事もあります。腫瘍は犬の死因の第一位と言われている、とても多い病気です。早期発見のために健康診断は欠かさず行いましょう。
交通事故や高所からの落下などの外傷により、臓器が損傷を受けてお腹の中で出血が起きることがあります。血液がお腹の中に出てしまうので貧血によるふらつきや粘膜の蒼白がみられ、場合によっては緊急手術が必要になります。
緊急疾患の場合、早めの対処で予後が変わります。急にお腹がいつもより大きくなったと感じたら、当院は24時間診察を行っておりますのでまずはご連絡ください。
早期発見をして、より長く楽しい時間を愛犬と過ごしましょう♪