猫のコラム

猫のコラム

子猫のミルクのあげ方

産まれたての小さな子猫を見つけてしまったときや、自宅で出産した猫が子猫の面倒を見ないとき、人工哺乳をしながら人の手で子猫を育てる必要があります。人間が母猫の代わりをすることはとても大変ですが、元気に育っていく姿を間近で見ていると、言葉では言い表せない愛おしさを感じることができます。

その子猫、産まれて何日目?

特にお外で子猫を発見した場合、その子猫が生後何日くらいの年齢なのか、ミルクが必要なのか離乳食を与えるべきなのか、迷うことが多いかと思います。
個体差はありますが、子猫のだいたいの年齢判定の目安は以下のとおりです。歯が生えそろう生後4週程までは、ミルクのみで育ちます。

・へその緒がついている:生後3‐5日以内
・目がまだ開いていない:生後7‐10日以内
・自力で歩き回れる:生後2-3週以降
・前歯が生えはじめる:生後3-4週
・奥歯や牙も生えそろっている:生後5-6週

人工哺乳の仕方

「人工哺乳」と言っても、ただミルクを与えれば良いだけではありません。産まれて間もない子猫は、自力での体温調節や排泄が出来ず、母猫の代わりにそうしたことの補助もしなければなりません。また、体力のない子猫は体調を崩し始めるとあっという間に弱ってしまうため、日々の体重や体調に関してこまめに記録をつけ、体調の異変に早く気付けるようにしましょう。
①保温
生まれたての子猫は自力での体温調節が出来ず、寒い環境下だとみるみる体温が下がり弱ってしまいます。特にお外で発見される子猫は、発見時すでに低体温になっていることが多いため注意が必要です。子猫の正常体温は人の体温よりも高めなので、触ってあたたかくなければ急いで保温しなければなりません。体が濡れていれば乾かし、毛布や湯たんぽなどであたためてあげてください。(至近距離でのドライヤー乾燥、肌に直接触れる湯たんぽ使用などは火傷の原因となるため、注意して使用してください。)よくホッカイロやホットマットのみで保温する方がいますが、床があたたかくても空気が冷たければ猫風邪等の原因となります。子猫のいる場所の近くに気温計を置き、室温を常に25~30度に保ち、お部屋そのものをあたたかくしてあげてください。
②排泄の補助
子猫は、生後1カ月程までは自力でうまく排泄が出来ないため、人の手によるサポートが必要です。清潔でやわらかなティッシュやガーゼ等をぬるま湯で少し湿らせ、陰部や肛門周囲を優しくトントンと刺激してください。子猫の皮膚はとっても薄くデリケートなため、ゴシゴシこするのは厳禁です。

 

子猫の尿は、うっすらと色のついた薄い黄色が正常で、明らかに濃い黄色の尿をする場合は脱水の可能性があります。また便に関しては、食餌がミルクのみの頃(生後1カ月程まで)はやや黄色がかった軟便が出ることが多く、コロッとした茶色の便が出ることが少ないですが、下痢でなければ大きな心配はいりません。
子猫はとにかく下痢しやすく、下痢が悪化すると脱水や低血糖等により命に関わる状態になることもあるため、下痢の場合は早めの病院受診を勧めます。
③ミルクのあげ方
生後1~2カ月までの子猫は、ミルクのみで育ちます。与えるミルクは、必ず市販の猫用ミルクを与えてください。牛乳は下痢の原因となるため、与えてはいけません。また猫用ミルクには、子猫の主食となるミルクと、成猫のおやつとして販売されているミルクがあるため、表示をよく読んでください。
ミルクは哺乳瓶もしくはシリンジやスポイトで飲ませます。シリンジやスポイトは使い捨てが出来て衛生的ですが、誤嚥しやすいため注意が必要です。哺乳瓶は使用前に煮沸消毒して衛生的に扱い、ミルクは表示通りに作って余りはその都度捨て、作り置きはしないでください。冷えたミルクは下痢の原因となるため、哺乳時のミルクの温度はとても重要です。子猫に与えるときの温度は、人肌かそれより少しあたたかめ(36~38度程)になるようにしてください。哺乳の途中でミルクが冷えないよう。大きめのマグカップなどにお湯を入れ、哺乳瓶を湯煎しミルクを温めながら与えてください。

ミルクを飲ませる際は、必ず子猫をうつ伏せにして飲ませてください。ミルクを飲ませているときに、鼻からミルクが出てきたり嘔吐したり、ゲホゲホとしたりするようであれば、誤嚥の可能性があるため哺乳を止めてください。その後呼吸が早くなるようであれば、急いで動物病院へご連絡ください。

 

<与えるミルクの量の目安>
・生まれたて~生後1週間
1回約4~8cc、2~3時間おき
・生後1~2週間
1回約10cc、4時間おき
・生後3週間~1カ月
1回10~20cc、6時間おき
※生後1カ月~1カ月半ほどで徐々に離乳食に移行し、生後2カ月ほどでキャットフードが主食となります。
④体重測定
生まれたての子猫の体重は、個体差はありますが約100グラムです。80グラム以下で生まれる小さな子猫は未熟児の可能性があり、子育てには細心の注意が必要です。順調に育つと体重は1日当たり約10グラム(体重の1割程)ずつ増加し、生後1カ月で約400~500グラム、生後3か月で約1キログラム程の体重となります。離乳前の子猫は、1日1~2回(出来るだけ同じ時間)体重を測定し、ミルクの飲んだ量や体調とともに記録してください。元気そうに見えても、ミルクを飲む量や体重が減っていれば、病院へ連れていくサインとなります。

 

こんな時は急いで病院へ!

・元気がない、体が冷たい
・嘔吐、下痢
・呼吸が早い
・ミルクを飲まない、体重が増えない
※参考文献
・猫の臨床専門誌Felis:vol.8(2015.12) 猫の小児科
・サンダース 犬と猫の小児科

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