愛猫のご飯のカロリー多すぎる?少なすぎる?
大切な家族と長く一緒に過ごすために、日々の食事管理は欠かせません。それは人でも、動物でも同じです。元気いっぱいの子猫と、運動時間の減るシニアの時期とでは、必要なエネルギーは異なります。今回は、当センターの栄養チームの先生が作成したカロリー計算(Excel)を用いて、簡単に解説いたします。なお、当院では、入院中の子の食事量もすべてカロリー計算にて算出し、栄養管理を行っています。
まずは、動物の栄養状態を把握するために、適正体型の基準となるBCS(ボディ・コンディション・スコア)をみてみましょう。BCS(ボディ・コンディション・スコア)とは、削痩~肥満のレベルを9段階(もしくは5段階)に分け、肋骨や腰・腹部を実際に視て、触れてわかる皮下脂肪の付き具合によって、肥満度をチェックするものです。今回、使用するカロリー計算では、BCS1~9を用いて理想体重を算出し、ライフステージと併せて1日に必要なカロリー(エネルギー要求量DER:Daily Energy Requirement)を求めます。
1 短毛腫ではろっ骨などの骨がはっきりと見える、腰の括れが著しい、腹の巻き上がりが目立つ、筋肉や脂肪がほとんどない
3 短毛腫ではろっ骨が容易に見える、腰のくびれが明らか、腹部にごくわずかな脂肪がある
4~5 腰のくびれが明らか、腹の巻き上がりがややある、肋骨は見えないが、容易にさわれる
6 腰のくびれがあまりはっきりしていない、腹の巻き上がりがごくわずかにある、肋骨は見えないが、容易に触れる
7 腰のくびれはわずかにある、腹の巻き上がりはない、肋骨は脂肪に覆われ、触ることが困難
9 腰のくびれがない、腹部に過剰な脂肪があり、明らかに丸みを帯びている、肋骨は熱い脂肪に覆われ、さわれない
たとえば、成長期では身体を成長させるために、たくさんのエネルギーを必要とするため、他のライフステージと比べて高カロリーの食事を与えなければなりません。それに対し、老齢期では活動量が低下し、筋肉量や基礎代謝が減少するため、若い頃と同じものを与えていると肥満の原因となります。“肥満は万病のもと”というように、愛らしく思える見た目とは裏腹にさまざまな疾患を引き起こす要因となり、外科手術の際には、麻酔がかかりにくく合併症のリスクが高まることもわかっています。栄養失調と聞くと、痩せている動物を想像することが多いと思いますが、エネルギーの過剰摂取による肥満もまた、栄養失調に含まれます。また、避妊・去勢手術後には、ホルモンバランスの変化により、エネルギー要求量が減るため、低カロリーの食事への変更や与える量を減らすなどして、肥満対策を行う必要があります。
最後に、食事100gあたりの代謝エネルギー(ME:Metabolizable Energy)から、1日の給与量を算出します。これにより、その子の身体状態を把握した上で、理想体型に合わせた食事管理を行うことができ、結果として、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や健康に長く一緒に暮らしてゆける時間が増えることに繋がるでしょう。パッケージに記載されている給与量はあくまで目安とし、実際にその子に合っているかどうかは、定期的に体重や体型の変動をもとにチェックが必要です。ご家庭でBCSの判断が難しい場合や、食事の選択にお困りの際は、お気軽にスタッフまでご相談下さい。
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