犬のコラム

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犬の狂犬病注射、どうして必要?

  • 病気

 

狂犬病は、犬だけでなく人を含む哺乳類全てに感染する「人獣共通感染症(ズーノーシス)」です。人も犬も感染して発症すれば有効な治療法はなく、ほぼ100%死に至る恐ろしい病気です。万が一、狂犬病注射を打たない犬が人を噛んでしまったら、思いもよらないトラブルになる可能性もあります。今回は狂犬病と予防接種について簡単にご説明していきます。
 

 

狂犬病とは?

狂犬病ウイルスの感染により発症します。このウイルスは感染した動物の唾液に大量に存在するので、感染動物による咬み傷から体内に侵入し感染し、咬まれてから約2~6週間で発症すると言われています。ウイルスは咬傷部位から脳・脊髄へと広がっていき、末梢神経障害や脳炎・脊髄炎などの中枢神経障害を引き起こします。
 
発症した犬の特徴的な症状の一つとして「水を恐れる」という項目があることから、「恐水症」と呼ばれることもある病気です。日本は狂犬病を国内から排除した「清浄国」に含まれていますが、狂犬病が未だ残っている他国において確認されている流行株全てが犬猫に感染するため、清浄国である日本でも油断はできません。
 
狂犬病の症状は狂躁型(全体の80%)と沈鬱型(全体の20%)に分かれます。狂躁型の症状は以下の3つに分かれます。
 
・前駆期…発熱、食欲不振、行動の変化(例:友好的な性格の子が近寄らなくなったり、逆に攻撃的だった子が従順になる
・狂躁期…過剰な興奮性、攻撃的になる(例:目の前にあるもの全てに咬みつく 、むやみに歩き回る、水を極端に恐れるなど)
・麻痺期…運動失調、痙攣、嚥下困難、昏睡などの麻痺症状、衰弱して死に至る
 
狂躁期が2~4日続いた後、麻痺期1~2日で死に至るとされています。
 
狂犬病は、中国や東南アジアでは依然猛威を振るっています。日本では昭和32年以降発症例はないものの、動物輸入により国内に狂犬病が入ってくる可能性は常にあります。記憶に新しい例として、2006年にフィリピン在住の方が犬に咬まれ感染後、日本に帰国後発症して死亡したケースがありました。
 

狂犬病の予防接種について

明確な治療法が確立されてない現在、狂犬病のワクチン接種による予防が非常に大切です。そのため日本では「狂犬病予防法」が制定されており、年1回のワクチン接種が義務付けられています。そして、この年1回の予防接種は生涯にわたり継続することが必要です。狂犬病予防法にはワクチンの接種のほか、飼い犬の登録・放し飼いの禁止・野犬の捕獲・輸出入動物の検疫などが定められており、国全体での防疫体制がとられています。
 
狂犬病予防は生後90日以上の子犬から対象になります。犬を飼った日から30日以内に狂犬病ワクチン接種を行い、お住まいの市区町村に犬の登録申請、鑑札交付を行いましょう。
 
日本は数少ない狂犬病清浄国ですが、現在日本の狂犬病ワクチン接種率は4割という低い予防率なのが現状です。いつ感染・発症が出てもおかしくない数値なのです。大切な愛犬・家族を守るためにも、年1回の予防接種を受けましょう。接種時期や手続きについてなどご不明点があれば、是非当院にご相談ください。

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