うさぎのコラム

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高齢うさぎの介護を知っておこう

  • 飼育
2017.11.27

 

近年、進んだ医療と適切なケアの賜としてうさぎの寿命は上昇傾向にあります。一緒に過ごすことができるようになって、長生きのうさぎが増えてきました。そのぶん、元気に暮らしてきたうさぎでも高齢期(6歳以上)を迎えると今まで違う変化がみられてくるでしょう。持病があっても、そうでなくても、飼育にあたって様々なサポートをする準備が必要になります。
 
・食事量が減った
・グルーミングができなくなった
・体が自由に動かなくなってしまった
 
今回は、こういった問題を抱えてしまった高齢期のうさぎに行われる介護の例をいくつかご紹介いたします。

1. 食事の補助(強制給餌)

もともと食滞を起こしやすいうさぎも、そうでないうさぎも、高齢期になると食欲不振に陥ることが多くなります。自分で食べる量が減って体重が落ちてしまう場合、原因となる病気を抱えている場合は治療が必要になりますが、日常的に食餌の補助を行う必要が出てくることもあります。これを「強制給餌」とよびます。
 
・粉末状の専用のフードをぬるま湯でふやかしたものを、シリンジ(針のついていない注射器)を使用して給餌します。
・フードの固さは、シリンジから出したときにやや形が残るくらいですが、うさぎの状態や好みによって水分量を調節するとよいでしょう。高齢なうさぎは水分不足であることも多いです。
・うさぎの切歯(前歯)の後ろの隙間から口の奥に向かって一口分ずついれてあげます。もぐもぐして飲み込んでくれたら成功です。もぐもぐが見られない場合、しばらく自由にしてあげると飲み込んでくれることがあります。
・給餌の量や頻度は、自力でどれくらい食べてくれているか、うさぎがどの程度給餌を受け入れてくれるか、排便はどれくらいかで調節していきます。
 
多くのうさぎは次第に慣れてきてくれますが、はじめはストレスがかからない様に少しずつ練習しましょう。シリンジに慣れていると、食事だけでなく投薬治療が必要になった場合も負担が少なくてすみます。お互いにシリンジに慣れるために、最初は好きなジュースなどで練習してもいいかもしれません。
異常に元気がないとき、給餌をまったく受け入れない場合、おなかが張っているときはけして無理をせず病院に相談してください。

2. グルーミングの補助

自力で毛繕いができなくなると、皮膚のトラブルを頻繁に起こすようになります。重要なのは皮膚の症状が出る前に、毛や皮膚の状態を綺麗に保つことです。食事や排泄の後のこまめなケア、全身のブラッシングを行いましょう。
 
・排泄のケア
うさぎは高齢になると後肢が弱ってきてお尻回りや後肢が排泄物で汚れてしまうことが増えます。また自力での移動に支障がある場合は特に、自分で排泄した場所から動けなくなってしまうこともあります。本来は、排泄を決まったところで行い、自分で毛づくろいをするきれい好きのうさぎにとって、お尻の汚れは大きなストレスになります。そうならないためにも頻回に排泄物の掃除を行いましょう。
 
寝たきりのうさぎの場合には、どんなに頻回に片付けても清潔に保つことが難しいので、おむつをさせてあげる工夫もできます。おむつをつけることで、排泄物で後肢が汚れることを防ぐことが期待できます。
 
お尻回りが汚れてしまった場合は、部分的で良いので洗ってあげましょう。
(詳しくは「うさぎのお尻洗いマスターになろう」をご参照ください)
 
・マッサージ
体が自由に動かない、もしくは寝たきりのうさぎでは、身体の血の巡りが偏ったり、関節が硬くなったりしてきます。血行をよくする様なイメージで、やさしくマッサージをしてあげましょう。とくに四肢やお腹など、身体のいろんな部分を触ってあげてください。飼い主さんに撫でてもらうことで、うさぎも安心してくれるはずです。
毎日触ることで小さな変化や、痛みに気付くことができるかもしれません。そのような場合には病院に相談しましょう。
 

3. ケージ環境の整備

活動が減ってくる高齢期。うさぎにとって周囲の環境が安全で清潔であることはさらに重要となってきます。
 
高齢期のケージづくりでに気を付けること
段差の負担:高い段差は足腰の弱ったうさぎには負担であり、怪我の原因になってしまうかもしれません。ケージの入口のバリアフリーはもちろん、トイレの段差は排泄の失敗の原因になることもあります。段差の少ないものを探す、スロープを付けてあげるなどの工夫をしてみましょう。
 
エサ入れや水飲みの高さ
以前のように姿勢を維持することが難しくなってきているかもしれません。エサ入れのふちが低いものにしてあげる、飲み水をボトルから皿に変えてあげると楽かもしれません。(水皿はひっくり返すことができないものを選んであげてください)
 
床材の柔らかさ
高齢期になると活動量が減ってケージ内で寝ていることが増えた、ということは、足裏にかかる負担が増している可能性があります。床材の種類を変える、柔らかいクッションや座布団をいれてあげるなどの工夫が必要です。
 
清潔を保つ
お尻が汚れた状態でケージ内を動き回ると、ケージの衛生状態は悪化します。こまめに掃除をしてあげましょう。
 
寝たきりのうさぎ
寝たきりのうさぎにとって、床剤や体勢のサポートは非常に大切です。床ずれ防止の基本は、体重を身体の広い範囲に分散させてあげる事、摩擦を抑えてあげる事です。タオルやU字クッションなどを使用して体勢のサポートをすることで、一つの場所に体重がかかりにくくしてあげることができます。体重分散、摩擦軽減の床剤やサポート用品は、様々な商品があります。当院でもいくつか入院中の子のケアのために使用しているグッズ、考慮している工夫がありますので是非、ご相談ください。
寝たきりのうさぎにとって床材とともに大切なことは、頻回な姿勢の転換(寝返り)です。コミュニケーションの一環としても、マッサージを含めて寝返りをこまめにしてあげてください。床ずれができてしまった場合には早めに病院に相談し、適切な処置をしてもらしましょう。
 
以上は典型的な介護のポイントになります。
 
介護、とひとことでいっても、必要な補助は様々です。高齢期になると症状は個々のうさぎによって大きく違うでしょうし、大きさや性格によってもできることも変わるでしょう。
 
介護が看護と違う点は、ほとんどの場合には寿命を全うするまで 長く付き合う処置であること。一番重要なのは、飼い主さんが疲れてしまわないことです。飼い主さんが疲れてしまうと、うさぎにとってもストレスとなります。ストレスを抱え込まず、様々な道具やヒントを使って、焦らずに、高齢期のうさぎとの大切な時間をすごしましょう。小さな事でも悩みの種になりやすく、不安になりやすい高齢期。不安なことや、疑問に思ったことは是非、動物病院のスタッフにご相談ください。介護を楽しみながら行う工夫を、一緒に考えていきましょう。

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