犬の失明① ~眼が見えなくなってしまう原因とは
愛犬と過ごしていて、なんとなく行動が変わったな?年かな?と思うことはありませんか?もともと嗅覚や聴覚が優れている犬たちは、視力が落ちてきても外からはなかなかわかりにくいかもしれません。
犬は、眼が見えなくなったときに次のような行動をすることがあります。
・周囲の音や匂いを頼りに慎重に動きます。特に新しい場所では、ひたすら匂いを嗅ぎながら歩く様子がみられます。
・ものにぶつかってから方向転換することがあります。
・こちらの動きが見えないので、突然触ると驚くことがあります
これらの様子が見られたら、「眼が見えていない」かもしれません。急に出てくる場合もあれば、だんだん進行することもあります。
角膜:眼球の外側を覆う透明な膜。光を屈折させて網膜に焦点を合わせる役割を担う。
瞳孔:光の量を調節する穴。
レンズ(水晶体):光を屈折させて網膜に焦点を合わせる役割を担う。
硝子体:眼球の中を満たす透明なゼリー状の物質。
網膜:光を電気信号に変換して脳に送る役割を担う。
タペタム層:弱い光も反射して増幅するので、暗闇でもものが良く見えます
視神経:網膜から大脳に「視覚情報」を送ります。
ちなみに、、、犬は色覚が2色型。人と同じ3色型(赤緑青)の色覚ではなく、赤色に対する感受性が低いといわれています。
さて、ご説明したように、角膜や水晶体など「透明な眼の器官」を通して、光や映像は「網膜」に届きます。その後、網膜から「視神経」を通して視覚の情報が「大脳皮質」に届けられます。その経路のどこかに異常があると眼が見えなくなってしまいます。代表的な疾患をいくつかご紹介します。
1)眼の透明な部分が濁ってしまう
【表面(角膜)】
・角膜潰瘍、角膜への色素沈着
大きな傷ができなくても慢性的に角膜に刺激が加わることで角膜に黒く色素が沈着し視覚を妨げることがあります。
ペキニーズやフレンチブルドッグ、パグなど鼻ぺちゃ組は目が大きく傷がつきやすいことが知られています。
・乾性角結膜炎(ドライアイ)
シーズーやアメリカンコッカ―スパニエルなどで多く、涙の量が減少することにより角膜や結膜に炎症を起こし、角膜の潰瘍や色素沈着の原因になります。
【レンズ(水晶体)】
・白内障
加齢性の白内障は少なく、遺伝性疾患が多いとされていて、アプリコットの毛色のプードルやアメリカンコッカ―スパニエル他たくさんの報告があります。
糖尿病など全身の病気の結果として進行することもあります。視覚の喪失だけでなく、進行により、ぶどう膜炎、緑内障を起こすことがあります。
・水晶体脱臼
水晶体は細い靭帯で支えられていますが、靭帯が弱くなったり破れたりすると水晶体は完全または不完全に脱臼することがあります。ジャックラッセルテリアなどテリア系品種で多く、脱臼により二次的な緑内障を起こすことがあります。
2)光を受け取るところの異常
【網膜】
・進行性網膜萎縮症
プードル、ミニチュアダックスフンドで多い遺伝性疾患として知られています。網膜が徐々に萎縮して薄くなっていき、最初は暗いところで見えづらくなり最終的に失明に至ります。6歳前後で症状が出始める子が多いですが、1-2歳で進行する子もいます。
・突発性網膜変性症
突然失明する病気で、はっきりとした原因はわかっていません。ミニチュアシュナウザーで多く、事前に飲水量や尿量が増えるとされています。
・網膜剥離
シーズーやイタリアングレイハウンドでは眼の後方にある硝子体という部位が変性しやすく網膜剥離が起こりやすいとされています。
また、高血圧など全身の病気が原因で剥離が起こることもあります。
3)視神経からの情報が大脳に伝わらない
【視神経】
・緑内障
眼圧の上昇により視神経乳頭が障害をうけると目の痛みや視覚障害の原因になります。点眼や外科手術で眼圧上昇を抑えますが進行性疾患ですので最終的にみえなくなってしまいます。
柴犬など遺伝性に起こりやすい犬種があります、早期に発見することが大切です。
【大脳】
・脳炎、視神経炎
・脳腫瘍
必要に応じて、麻酔下になりますがMRI検査を実施して、頭蓋内に異常がないかどうかを調べることもあります。
犬が失明してしまう原因は様々ですが、加齢によるものだけとは限りません。
また、眼の問題だけではなく、糖尿病や高血圧、自己免疫疾患などの全身性の疾患の影響で見えなくなることもあります。「眼がみえていないかも?」と感じることや気になる行動があるときは、なるべく早く獣医師の診察を受けてください。
また、中高齢になってきたら定期検診はかかさず実施していきましょう。
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