猫のコラム

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性格は遺伝で決まる? ― 猫の行動と遺伝子から考える“その子に合った医療” ―

投稿日 2026.04.08

「よく鳴く子」「あまり鳴かない子」「人懐っこい子」「警戒心の強い子」
猫の性格や行動には、それぞれ明確な違いがあります。こうした“その子らしさ”は、環境だけでなく遺伝的な背景も関係している可能性が近年の研究から見えてきています。

行動に関わる遺伝子 ― AR遺伝子

近年の研究では、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子と猫の行動の関連が報告されています。
この遺伝子は、テストステロン(男性ホルモンの一種)などのホルモンに関わり、「発声(鳴き声)」「攻撃性」「社会的な反応」といった行動に影響する可能性があります。実際に他の動物では、犬で「攻撃性との関連」、ラクダで「恐怖反応との関連」、霊長類で「発声行動との関連」が報告されています。

「猫におけるアンドロゲン受容体遺伝子と行動特性との関係」(2025)
Association between androgen receptor gene and behavioral traits in cats (Felis catus) Okamoto(2025) 
この研究では、AR遺伝子の一部が短いタイプに以下の傾向が示されました。
 
→ よくゴロゴロ鳴く
 
→ 人に向かってよく鳴く(特にオス)
 
→ 見知らぬ人への警戒・攻撃性が高い(特にメス)
つまり、「よく鳴く」「反応がはっきりしている」タイプには、遺伝的な背景がある可能性があるのです。

これらの結果から見えてくるのは、 行動は単なる性格ではなく、その子なりの“環境への適応の仕方”という視点です。

例えば、
よく鳴く → 周囲に働きかけるタイプ
鳴かない → 内側で変化を処理するタイプ
どちらが良い・悪いではなく、“表現の仕方が違うだけ”と考えることができます。

さらに興味深いのは、今回の遺伝子の一部が長いタイプはイエネコでみられ、野生のネコには見られないという点です。
これは、人と暮らす中で「行動」の遺伝的背景も進化してきた可能性を示唆しています。
つまり猫は、人との関係の中で“伝え方”を変えてきた動物とも言えます。

この研究を臨床的に考えると、非常に重要な視点があります。
性格(行動特性)は、体調の伝え方にも影響する可能性があり、
例えば、
よく鳴く子 → 不調を行動や声で表現しやすい
あまり鳴かない子 → 変化が外に出にくい
つまり、同じ“体調不良”でも、“不安”でも、見え方が違うということです。

当院の診療が大切にしていること

当院では、「病気を治す」だけでなく、“その子に合った健康管理”を行うことを大切にしています。その理由の一つが、まさにこの個体差(遺伝的背景を含む)による違いです。

例えば、
鳴かない子 → 変化が出にくいことを前提に観察
警戒心が強い子 → ストレスを最小限にした診療環境
活発な子 → 行動量に合わせた健康管理
このように、“平均”ではなく“その子”を基準に考えることが重要です。

性格は、その子が持って生まれた一つの個性であり、同時にその子なりの“伝え方”でもあります。
そしてその背景には、環境だけでなく遺伝的な要素も関わっている可能性があります。

大切なのは、「この子はこういう性格だから」と一括りにするのではなく、その表現や行動がどのような意味を持っているのかを丁寧に見ていくことです。日々の何気ないしぐさや反応の中には、その子の状態や変化を伝えるサインが隠れていることがあります。
私たちは、その子に合わせた医療で、日々の安心を支えていきたいと考えています。

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