犬のコラム

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腹腔鏡ってどんな手術?


 

腹腔鏡手術~最先端の低侵襲治療~

当院では、腹腔鏡手術システムを導入し、より低侵襲で動物にやさし い手術を提供しております。
腹腔鏡手術とは、腹部に数カ所1cm程度の穴を開け、そこから特殊なカメラと手術器具を挿入して行う手術の方法です。

○腹腔鏡手術のメリット

①傷口が小さく済む
傷口が小さいことにより、切開による出血や感染のリスクが抑えられます。
また、腹腔内の臓器を外気にさらしたり、術者が不必要に触れることがないため、術後の臓器同士の癒着を起こすリスクを減らすことができます。
 

 
②痛みを最小限にすることができる
傷口が小さいだけでなく、臓器の過度な牽引をせずに手術を行えるため、痛みや侵襲が最小限で済み、術後早い回復と入院期間の短縮が期待できます。当院では避妊の場合、開腹手術で2泊3日、腹腔鏡手術で1泊2日の入院期間としています。
 
③より安全性の高い正確な手術を行える
避妊手術の場合、開腹手術では体の一番深い見えづらい位置に卵巣があり、取り残しを防ぐために傷を大きくしたり強く牽引したりする必要があります。また、摘出後の出血に気付きづらい可能性があります。対して腹腔鏡手術では、高画質のカメラを用いてしっかりと卵巣や微細な血管を視認しながら行えるため、最小限の牽引や出血で確実に臓器の摘出ができます。

○腹腔鏡手術の適応

当院では、主に以下のような手術に腹腔鏡を活用しています。(犬猫)
・生殖器系の手術(避妊手術、潜在精巣摘出術など)

・泌尿器系の手術(膀胱結石摘出術など)

・消化器系の手術(胆嚢摘出術など)
・その他(肝臓・膵臓の嚢胞切除、生検など)
 
※動物の病態や手術内容によって腹腔鏡が不適応である場合や術中判断で開腹手術へ移行する場合もあります。
 

 

○安全のための設備

腹腔鏡手術は、特殊な器具や、熟練した技術を必要とします。
当院では、高解像度の内視鏡カメラやベッセルシーリングシステムをはじめとした高度な手術機器など必要な設備が整っております。加えて、腹腔鏡チームスタッフは、どうぶつ内視鏡外科ネットワーク提携病院として著名な講師のトレーニングを定期的に受け、日々手技と経験値を高めています。

○万全の合併症対策

腹腔鏡手術は低侵襲ですが、完全にリスクがゼロというわけではありません。
腹腔鏡手術特有の気腹(お腹にガスを充填し膨らませる工程)に伴う合併症や、開腹手術と同様に出血、臓器損傷、感染、癒着などの可能性があります。当院では、このような万が一の事態に備え、緊急時の迅速な対応・必要に応じて開腹手術へ移行するなど、 セーフティーネットを設定しています。

※腹腔鏡の実際の流れ(避妊手術の場合)

【術前検査(手術1週間前~)】
他の手術と同様に、全身の血液検査や画像検査で健康状態を把握し、適切な麻酔及び手術 方法のプランニングを行います。
 
【術前準備(当日)】
手術当日は術前投薬や点滴などの準備を行います。
適切な全身麻酔を施し、手術部位の剃毛と消毒を行います。
 
【手術の流れ】
1. 腹部に3-5mmの小さな切開を加え切開部からトロッカー(筒状の器具)を挿入します。
2. トロッカーから腹腔内に二酸化炭素ガスを注入し腹部を膨らまし、視野や作業スペースを確保します。(気腹といいます)

3. トロッカーから腹腔鏡(カメラ)を挿入します。

4. カメラで腹腔内の臓器や血管を確認しながら新たなトロッカーを1-2本挿入します。

5. トロッカーから鉗子や止血用の器具を挿入し、卵巣を確認します。

6. 卵巣につながる靭帯と動静脈を超音波凝固切開装置を用いて、止血しながら切断します。

7. 反対の卵巣も同様に処理します。

8. 卵巣とともに子宮を小さいな切開創から体外に取り出し、体外で子宮頸部を結紮・切断し摘出します。

9. カメラで腹腔内に出血がないか最終確認をし、トロッカーを入れていた3箇所を縫合して閉腹します。(腹腔内のガスも抜きます)

10.麻酔から覚醒させます。
 
【術後管理】
術後は獣医師とスタッフにより細かい経過観察を行います。
※抜糸は、開腹手術と同様1週間~10日後としていますが、一般的には数日で治癒します。

さいごに

当院では、適応症例において腹腔鏡による手術を推奨していくことで、動物への負担を最小限に抑える「動物にやさしい医療」の提供に努めています。
〇まずは診察にて、腹腔鏡手術が適応かどうかを判断します。

〇当院が初めての方はお電話でご予約をお願いいたします。(カルテがある方は、ウェブからもご予約をいただけます。)

〇「ご相談だけ」でも承っております。

 
腹腔鏡手術にご興味のあるご家族様は、ぜひお気軽にご相談ください。
 
このコラムは一般的な説明を目的としております。個別の症状や手術の適応については獣医師にご相談ください

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