ペットロスについて知っておきたいこと
動物と共に暮らす皆様は、どこかで「ペットロス」という言葉を聞いた事があるのではないでしょうか。
現在では動物と共に暮らすという概念は、コンパニオンアニマル(伴侶動物)と人生を共に歩むものとして認識されるようになってきましたね。
「動物は家族」とも言いますが、それ以上の存在だと思う方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。このように人と動物の結びつきが強くなることで、パートナーである動物の死や突然の別れによって引き起こされる悲嘆がより強くなり、身体的精神的症状が出ることをペットロス(症候群)と呼ぶようになりました。ペットロスを知っていただく事で、少しでもどなたかのペットロスの軽減に繋がれば幸いです。
ペットロス症候群と一言で言っても、食欲不振や孤独感を感じるなどの身体的・精神的に様々な症状が出るので、一概にこうなったらペットロスだと断定出来るわけではありません。今では動物と共に過ごされている方のほとんどがこのペットロスになるといわれています。
ペットロスに陥る状況から体や心に何かしらの変化を感じたらペットロスが生じている可能性があります。ただそれは自然な事ですので、驚かれずにその状況をありのままに感じてください。
このペットロスは自身が少しずつ立ち直るための必要なプロセスでもあります。こちらに関していくつかご紹介させていただきます。
初めに「否定」、次に「交渉」、「怒り」、そして状況を受け入れる「受容」、これらを受け「解決」という心のプロセスを経ると言われています。
このプロセスの具体例をあげてみましょう。
1.【否定】ペットと別れるなんて信じられない。こんな事があるはずない。こんな状況はウソだ!と強く思うようになります。目の前に起きている出来事を無かったことにしたいと考えてしまうなど、現実から目を背けたくなる状況です。
2.【交渉】自分が代わりに病気になっても良いから助けてほしい。という神頼みのような気持ちが交渉の過程です。
3.【怒り】今のこんな状態になってしまったのはあれを与えてしまった自分のせいだ、病院でうった注射が悪さをしたに違いないと自身も含め何かのせいにしてしまいたくなるのが怒りの段階です。
普段の様子であれば、こんなに落ち込むことではないのにどうしていつも以上に悲しいのだろう?どうしていつもよりイライラしているのだろう?と思った時に、もしこのプロセスの渦中にいらっしゃるようであればそれは自然な事なのです。上記の3段階のいずれかだけ出る人もいれば、全て当てはまる人もいらっしゃいます。そしてこのプロセスが数日でおさまる事もあれば、数年と長くかかる事もあります。
そしてこれらを経て徐々に別れを自身の中で受け入れ、解決とプロセスの終了となります。深い悲しみの状況から、あんな可愛い姿があったな。とつい思い出し笑いが出てくるようになった時は、ペットロスが落ち着いた兆候かもしれません。ペットロスは薬で治るものでも無いですし、時間が解決するという簡単なものでもありません。愛し愛されるパートナーであったからこそ、その子を思い出す大切なプロセスなのです。
また、悲しみを少しでも軽減していくために有効と言われているのは「話をすること」です。
パートナーとの素敵な思い出はたくさんありますよね。ごはんを早くちょうだいと急かす仕草や、ご家族が布団で寝ると一緒に布団にもぐりこんでくる様子。一緒に旅行に行った特別な思い出もあれば、日々の様子も素敵な思い出です。
どうぞその想いを、どなたかとご享受ください。
ペットロスが解決した後も、パートナーとの素敵な思い出は永遠のものとなります。抱きしめた思い出、お散歩した思い出を沢山思い出してください。沢山の笑顔を与えてくれた子をぜひ心から褒めてあげてください。
その愛する気持ちと感謝の気持ちが、今後の人生をより素敵なものへといざなってくれるものと信じています。
私たち動物病院のスタッフは、飼い主様の心が落ち着かれるまで一緒にお気持ちを共有したいと考えております。
獣医師、動物看護士、受付、コンシェルジュ、トリマー、様々なスタッフがおりますが、何れのスタッフでも構いません。皆様のお気持ちをぜひお聞かせください。
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