猫がいるけど部屋に植物も置きたい! 〜植物による中毒事故を防ぐために〜
猫ちゃんのいるご家庭でインテリアとして観葉植物やお花を飾りたいと思われる方も多いと思います。季節によってお花を変えたり、お部屋ごとに植物を変えてみたり…私たちが植物から癒しを感じるように、猫ちゃんも実は植物の香りによって季節を感じたり、癒しを感じているようです。
猫ちゃんの中には、植物に興味津々で花の香りをしきりに嗅いだり、葉っぱを齧ってしまう子もいれば、全く興味を示さない子までさまざまです。後者であれば、部屋に植物を置くことに問題は少ないといえますが、植物の中には猫ちゃんに中毒を起こすものもあります。私たちが気をつけなければならないことは、万が一猫ちゃんが植物を食べてしまった場合に備えて、中毒を起こす植物を置かないこと、もしくは食べられないように工夫することです。今回は中毒を起こす植物、安全な植物、また異食防止の工夫をご紹介します。
どのような植物が猫に中毒をおこすのでしょうか。お家の中でインテリアとして観葉植物やお花を置いたり、家庭菜園をするにあたって、まずは中毒を起こす可能性のある植物を知り、避けることで事故を防ぐことが出来ます。植物の中には、猫が食べてしまっても軽い皮膚炎や下痢でおさまるものから、ユリ科のように花粉や花瓶の水を舐めるだけでも命に関わるものもあるので、注意が必要です。身近にある植物のうち、特に注意が必要なものを表にまとめましたが、下記の植物以外にも大量に摂取することで刺激になり、嘔吐や下痢につながるものや、マイナーな植物では明確な中毒症状が知られていないものもあります。確実に安全と分かっていないものに関しては食べてしまったことが分かった時点ですぐに病院でみてもらいましょう。
ユリ科(ユリ、チューリップ、スズラン、ヒヤシンス)
花、葉、茎など全ての部分に毒性があり、花粉や花瓶の水でも症状がでることがあります。嘔吐や急性腎不全により致命的なケースが多く、最も気をつけなければならない植物の一つです。危険度大
ナス科(チョウセンアサガオ、ホオズキ、ニオイバンマツリ、トマト)
全ての部位に毒性があり、散瞳や嘔吐、ふらつき、眼振(黒目が揺れる)などが生じ、致命的になることもあります。危険度大
ツツジ科(サツキ、シャクナゲ、)
全ての部位に毒性があり、嘔吐や不整脈、昏睡、致命的になることも。危険度大
アジサイ
つぼみに含まれる物質が消化管内で青酸に変化し、痙攣や昏睡、呼吸麻痺を起こし致命的となります。 危険度大
プラム属(リンゴ、アンズ、チェリー、モモ、ウメ)
種に含まれる物質が消化管内で青酸に変化し、嘔吐や痙攣、呼吸困難などをおこし致命的になることもあります。危険度大
スミレ科(パンジー)
種子や根茎に毒性があり、嘔吐や神経麻痺を起こします。危険度中〜大
スイセン属(スイセン)
球根が特に毒性が強く、嘔吐や下痢、血圧低下を起こし、重度の場合心不全などで致命的となります。危険度中〜大
キク科(マーガレット)
樹液などに含まれる物質に接触することで皮膚炎が起こり、フケが出やすくなるなどの症状が出ます。危険度低
キヅタ属(アイビー)
葉や果実に毒性があり、嘔吐や下痢、腹痛、皮膚炎を起こします。危険度低
トウダイグサ科(ポインセチア)
葉、茎が特に危険で、嘔吐や下痢、皮膚炎を起こします。 危険度低
サトイモ科(ポトス、カラー)
葉に毒性があり、触れることで刺激になり、口に入れば口内炎、皮膚に接触すれば皮膚炎が生じます。危険度低
アロエ
下痢を引き起こします。危険度低
猫ちゃんにとって安全とわかっているものもいくつかあります。またアメリカの動物虐待防止協会(ASPCA : American Society of Prevention of Cruelty to Animals)の活動の一つとして動物中毒制御センター(APCC : Animal Poison Control Center)があり、年間10万件以上の中毒事例を扱っており、そのうち毒性が無いと判断されたリストがASPCAのサイトにて作成されていますので、そちらもあわせて参考にしてみてください。ただし、安全とされている植物でも、猫ちゃんの個体差によって嘔吐や下痢などの症状が出る可能性がありますので、しきりに食べたがる場合は注意が必要です。
猫ちゃんに安全といわれている観葉植物
猫草(えん麦、エノコログサなど)、 ミント、 観音竹、 パキラ、 ガジュマル、 シュロチク、 サンスベリア、 モンステラ、 シャコバサボテン、 エバーフレッシュ
猫ちゃんに安全といわれている花・ハーブ
バジル(シソ科)、 ラン、 ミント、 オリヅルラン、 キャットニップ、 サルビア、 レモングラス、 ガーベラ、 バラ、 ヒャクニチソウ
そもそも猫ちゃんたちはなぜ植物を食べてしまうのでしょうか。家の中にある植物や人の食べ物に全く興味のない子もあれば、目の前にあるものは何でも口にしてしまう子まで様々ですが、猫ちゃんが食事以外の物を食べてしまうのには、猫ちゃんの性格やストレス状態によるものも多く、癖になってしまうこともあります。
異食の原因には下記のようにいくつかの原因が考えられます。
<異食の原因>
(1) 何らかのストレスによるもの(生活環境、多頭飼い、運動不足、飼い主さんとのコミュニケーション不足)
(2) 病気によるもの(消化器や肝臓・腎臓・甲状腺疾患など)
(3) 好奇心・興味など猫ちゃんの性格上習慣化してしまったもの
(4) 早期離乳によるもの
(5) 食事の栄養不足
<異食の対策>
異食は一度癖づいてしまうと治すのに苦労される方も多いようです。原因はさまざまですが、一度でも異食を起こしてしまったら、解決できるところから対策をたて、予防に努めていきましょう。
1: ストレスの原因を探る、解消させる
運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足を解消するために一緒に遊んであげる時間を増やしたり、留守中も遊べるようにキャットタワーを置いてみるのも一つです。また多頭飼育にストレスを感じている場合には家の色々な場所にお水やトイレ、くつろげるスペースを置いて生活範囲を分けられるようにしてあげましょう。
2: 健康診断を受ける
病気によって栄養が不足していたり、体の違和感から食欲が異常に旺盛になったり、病気によるストレスから異食してしまうこともあるようです。明らかな病気がないか、検診を受けることも対策の一つです。
3: 不要な物、異食しそうなものは手の届かない場所へ
子猫や若い猫ちゃんの場合、好奇心や興味はあって当然。この時期に植物の葉っぱや花の食感を気に入って覚えてしまうと後々癖づいてしまう可能性があるため、簡単に食べられる環境にしないよう注意が必要です。
4: 離乳の時期に注意する
人間でも離乳期の赤ちゃんが指しゃぶりをするように、早期に離乳をしてしまうと異食癖がついてしまう確立があがるようです。適切な離乳時期になると自ら子猫用のキャットフードを食べられるようになりますので、少しずつ試して切り替えていきましょう。
5: 適切なキャットフードを選択する
猫ちゃんのフードには総合栄養食、補助食、おやつなどがありますが、嗜好性が良いから、と補助食やおやつばかり与えていると知らず知らずのうちに栄養不足になっている可能性があります。好き嫌いの多い猫ちゃんの場合、嗜好性の高いものを食べがちですが、総合栄養食野中で気に入ってくれるフードを探してみましょう。
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