インタビュー
Interview
獣医師山本 なな乃
出身大学:The University of Queensland Australia
入社:2015年(日本国家試験受験後 新卒扱い)
所属:医局サブマネジャー、獣医師
日本動物医療センターを選んだ理由は?
オーストラリア資格取得後、日本の国家試験受験を受ける際に、病院の語学対策サポートとしてアルバイトでお世話になりました。当時は日本で働く予定はなかったのですが、アルバイトでJAMC(日本動物医療センター)に関わる中で、スタッフ全員の動物たちへの想い、また飼い主様との関係構築に感銘を受けたことが日本で、JAMCで働きたいと思いはじめたきっかけでした。
就職検討中に特に印象に残った出来事は、長らく持病の治療のために通院していたわんちゃんが最期に亡くなってしまった時の事でした。飼い主さんはとても辛い気持ちだったと思いですが、一方で「ここまでやりきった、一緒に頑張ることができて幸せだ」と涙しながらスタッフ一人一人に感謝なさっていたこと、また献身的な取り組みをお互いに称え合っていた様子でした。まるで家族のようにみえました。
自分も大切な動物を飼う者として、こんなに納得して治療をできる環境があるのかと驚くと同時に、私もそんなスタッフの一員になりたいと考えるようになっていったのだと思います。
新卒のうちから救急医療や夜間医療に携わりたい気持ちもあったので最終的にはJAMCに就職を決めました。
実際に働かれてみて、日本動物医療センターをどう思いますか?
まず確実に言えるのはどのスタッフも動物をとても大切に思っているということです。
ほとんどのスタッフが自分の飼っている動物を通院させますし、信頼して看護や治療を行うことが可能になっています。就職検討時に、「まるで家族のよう」と感じた感覚は今でも変わらず感じます。
獣医師として働くなかでは、1.5次診療という立場から幅広く症例に出会う機会には恵まれていると感じています。健康診断、予防接種、定期検診、相談など、飼い主様との関係性を重視した診療から高度な検査・治療が必要になるような症例があること、また24時間緊急診療を通して大変やりがいを感じます。科によっては認定医との連携がしっかりあるので、スピーディに治療相談をすることもできます。
現在医局の中でも、各分野に興味のある分野のある獣医を代表として全体の学術向上を目指す仕組み作りも継続的に行っていきますので今後も更に今以上に各分野のブラッシュアップに繋がっていくと考えています。
現在、力を入れて取り組んでいることはありますか?
個人的には、院内でうさぎチームの医療向上に尽力しています。近年夜間に診療希望のお電話を頂く際、「うさぎ診てもらえますか」とパニック気味にご連絡をいただくことが多くなっています。うさぎは犬猫とはかかりやすい疾患も異なりますし、診療している病院も多くないため、かなり遠方からいらっしゃる方も多いです。
うさぎ特有のストレスの感じ方、飼い主さんの不安事項、そういった事にも留意しながら安心を提供できる病院であることを目指しています。
救急チームでは、医療スタッフのみならずサービス部門のスタッフでも「救急病院であること」の意識づけ、初期トリアージの対応研究、また医療チーム内での対応改善に尽力しています。病院としての最初の対応、またもちろん緊急疾患の早期治療は1分1秒が鍵になります。命の救助だけでなくご家族の安心の提供のために、環境、設備、対応の向上に、日常的に取り組んでいます。
あなたが大事にしていることは何ですか?
院内でのスタッフ間コミュニケーションを大切にしたいと心がけています。
患者さんの治療に大切なのは、ワンマンプレイではなく、チーム医療だと考えています。それはには獣医同士、愛玩動物看護師同士、サービス部門などだけでなく部門を超えた連携による、安心の提供が必須です。JAMCは人数が多いので、意識的にコミュニケーションを取らないでいると、日々の忙しさに振り回されて円滑な連携が取りにくくなりやすいかもしれません。幸い、前述のように当院のスタッフは一丸となって動物を愛していますし、コミュニケーションがとりやすい人材に恵まれているので非常にやりやすいと感じます。
獣医の中でも、それぞれの得意分野やシフトの兼ね合いでチーム医療がより必要な仕組み作りを目指しています。出勤日は一生懸命仕事や医療に携わり、チーム内での連携のなかで、チームを信頼してしっかり休みにリフレッシュ(思いっきり遊ぶもよし、思いっきり勉強するもよし)することも重要ですので、総合的によりよい医療に繋がる働き方をサポートしてもらっていると思います。
印象に残っていることはありますか?
毎日がドラマのようなので、数え切れないほど印象に残っていることはあります。
「大変だった」日の夜勤はなかなか忘れません。猫の手も借りたいほど忙しく、重傷症例がひっきりなしに運ばれ、張り付き管理が必要な患者さんが複数いる夜は何度もありました。
そんな中でもご家族がお泊まりしながら、不安な中でもそれまでの思い出やおうちでの様子を聞かせて頂く事はとても優しい時間だったと思います。救急症例が一命をとりとめた翌朝、ヘロヘロ状態で一緒に頑張った愛玩動物看護師さんと屋上で浴びた朝日はとても気持ちの良い物でした。
長らく治療を頑張ってきた患者さんが、ICUでご家族の腕の中で息を引き取ったとき、ご家族と泣きながらハグをしたこともあります。この時のご家族の「達成感」を一緒に共有できたとき、助けられなかった悲しみがあるなかでも、この仕事のやりがいを感じたのを覚えています。
初めての処置を私が一人でできたとき、親身に教えてくださって、一緒に喜んでくれた先輩。後輩が同じ処置をできるようになった瞬間。私の足りないところを指摘してくれる同期。愛玩動物看護師さんと二人三脚で命を助けた瞬間。どうしても手が空かない時に事前に十分な問診をとってくれるサービス部門。ご家族からの感謝やご指摘。ひとつひとつのことが毎日の成長の糧になります。
院内の外国語への取り組みを教えてください。
当院にはある一定の割合で外国籍のご家族様が来院されます。その数も年々増えてきているように感じています。スタッフの中には英語が堪能なものもいますし、そうでない人もいますので私を含めて英語を話せるスタッフは英語診察にでますが、不安な中で来院されて言葉がわからない状況のなかで 英語対応をしますと、「ああ!よかった!」とものすごく安心される事が多いです。そのときに、日本にいながら自分のこれまでの経験が活かせていると感じて嬉しいです。
また、全スタッフで最低限の初期対応ができるように英語慣れを推進しています。
英語に関してアレルギーがあるスタッフや、これまで話してみることも怖いと感じているスタッフにも「コミュニケーションツールのひとつ」として楽しんでもらえたときは非常に嬉しく感じます。
近年は中国語、韓国語などしか話せないご家族様も多く、なかなか意思の疎通が難しいケースも見受けられるのですが、いまのところそれらを話せるスタッフは少ないので、是非そんな特技があれば教えていただきたいです!
1日の流れ
8:00-8:25 | 出社・着替え その日のスケジュール確認や入院患者の顔つき確認をします。 |
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8:30 | 医療部門ミーティング 朝ラウンド:夜間からの引き継ぎを含む回診をします。 |
8:45 | 朝全体ミーティング |
9:00 | 午前診察開始 外来担当、入院担当、検査担当、手術など日により役割は異なります。 |
13:00 | 午前の処置、診察がひと段落 |
13:30 | 医療部門ミーティング 昼ラウンド:入院患者の状態把握、症例相談、夜間への引き継ぎ事項確認をします。 |
13:45 | 昼全体ミーティング 全体での確認事項、重症患者などの確認をします。 |
14:00 | 午後診察開始 面会開始となります。(外来担当、入院担当、検査担当。手術担当) |
16:30 | 入院患者の午後の治療準備 |
17:45 | 終礼・全体ミーティング 集まれなければ申し送りを行います。 |
18:00 | 遅番スタッフは外来開始 入院管理を継続します。 |
17:45-19:00 | 日勤スタッフ退勤のため全体努力 20:45に夜勤スタッフが出社し、遅番から入院患者・来院予定患者の引き継ぎを行います。 |
20:45 | 夜勤スタッフ出社 遅番から入院患者、来院予定患者の引き継ぎを行います。 |